禁術複製「ありがたいねぃ。俺っちは破術の争奪戦には興味ないんだよねぃ。でも放置すると襲われる」
禁術娘「当たり前だよ、ねェ。誰も知らない破術持ってるんだろ。じゃあ取られる」
禁術複製「そうなんだよねぃ。しかし死なない事には争奪戦から離脱できないし、死んだらおしまいなんだよねぃ」
魔法使い「禁術複製さんが<複写>を知っているなら、自分をコピーして増やせば戦力になるのでは?」
禁術複製「誰だってそう思うよねぃ。<複写>はさ、何でも複写できるけど、人間を複写した時は別途<支配>しないと言う事聞かないよねぃ」
魔法使い「ああ、なるほど」
禁術複製「誰だって思うよねぃ。目の前に本人がいるなら入れ替わっちゃえばいいんだって。だから人間をコピーしたら最初にするのは<支配>だよねぃ」
魔法使い「つまり、増やした分だけ<支配>を維持しないといけない。そうすると増やせば増やすほど維持コストがかかる」
禁術娘「そう、結局増やすところで1人や2人。でも、コピーが<複写>を使えば、そのコストはコピー持ちだよ、ねェ」
禁術複製「残念ながらコピーの魔法コストは本人の空きコスト依存なんだよねぃ。だからオリジナルが消えるまでは俺っちもコストが少なかった」
禁術娘「……今は、コストが開いてて魔法が使える、って言うんだ、ねェ」
禁術複製「身構えないでいいねぃ。どうせどっちも不死、やり合ってる間に横やりが入るのが一番マズいねぃ。やるなら酒場に入る前に酒場ごと消してるねぃ」
禁術娘「で、アタシとまほクン達、どっちに用事なんだい?」
禁術複製「話が戻って助かるねぃ。実際どっちも用があるから一緒にいてくれて助かるねぃ」
騎士「我々にも用がある……だと?」
禁術複製「もちろん。本人から解放してくれたお礼と、あと、お願いがあってねぃ」
騎士「僧侶が言うとおり、話だけは聞こう」
禁術複製「まず妹ちゃんにお話するねぃ。二人で組んで、破術争奪戦から降りよう」
禁術娘「はぁ……?今降りるって言った?」
禁術複製「言ったねぃ。本人は破術を集めていたけど、俺っちはどうでもいいんだねぃ。俺っちレベルの術士が簡単に死ぬなら破術なんて集めてる場合じゃないねぃ。俺っちはまだ死にたくないねぃ。なら、俺っちしか知らない破術を持ったまま争奪戦から離脱したいねぃ」
禁術娘「都合の良い事を……!」
禁術複製「わがままだって言うなら不死は手放してもいいねぃ。いつ襲われて拷問されて奪われて殺されるかがわからない、っていうのは、実際『死なない』とはほど遠いねぃ」
禁術娘「クズだって、あれから何人も奪って殺してきたんだろう……!?」
禁術複製「本人が消えるまではねぃ。でもそれは俺っちが殺そうとしての事じゃない。支配されてやった事だねぃ。それに参加している奴はみんなそれを承知だねぃ」
禁術娘「クズと話す事はないねェ。どこかで野垂れ死にな」
禁術複製「クズって言われると傷つくねぃ。僧侶の人、ちょっと助け船出してくれないかねぃ?」
僧侶「支配が呪いによるものなら、その命令に逆らうのは至難の業ですね。おそらく解除しようとしない事も含めて命令されているでしょうから、打つ手はほぼなかったんじゃないかとは思います」
禁術複製「本当に助かるねぃ。そして本人が<支配>を使える以上、俺っちも<支配>が使えるねぃ。個別で遭遇して初手で<支配>使えば妹ちゃんは言うこと聞くしかなかった。それをしなかった事を評価して欲しいねぃ」
禁術娘「考え方はクズそのものなんだねェ」
禁術複製「まあそのクズの複写だからねぃ。でも俺っちは本人と分かれて別の道を歩いているねぃ」
禁術娘「悪人が更生したっていう自己申告を信じる馬鹿がいるとでも思ってるのかねェ……?」
禁術複製「目覚めた瞬間に『お前は偽物だ』『偽物だと分かるように喋れ』『命令に従って破術を奪って人を殺してこい』って言われて、疑問に思わない人間っているのかねぃ?複写された瞬間は本人と同じかもしれないけど、初手でもう本人とは違う運命なんだよねぃ」
禁術娘「……やっぱり、信じられない。アンタは無表情でアタシを『いじった』クズ本人にしか見えない」
禁術複製「まあ、しょうがないねぃ。ただ、一緒に降りたくなったら言って欲しいねぃ。妹ちゃんは争奪戦嫌いでしょ?」
禁術娘「クズも嫌いだよ」
#ズレよし
#ちょっとズレてるお人好しども
#破術争奪戦編
追って加筆修正し、以下まとめサイトに掲載します!
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